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【泌尿器科】去勢抵抗性前立腺癌に対する分子標的治療薬(リムパーザ)に関して

2024年02月16日

~去勢抵抗性前立腺癌に対する分子標的治療薬(リムパーザ)~

2020年12月、BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対してリムパーザが保険適応となりました。これにより、既に治療選択肢がなかった患者様や高齢のため化学療法が困難であった患者様などへの新しい治療選択肢が増えました。

リムパーザは、血液中もしくは腫瘍細胞にBRCA遺伝子変異がある方のみが治療適応となり、DNAの2本鎖切断修復不全となったBRCA遺伝子変異陽性の癌細胞において、PARPを阻害しDNA修復を破綻させることで抗腫瘍効果を発揮します。

リムパーザは本邦では乳癌や卵巣癌の婦人科領域で既に使用されており、前立腺癌はそれらに続いて適応追加となりました。

1日2回の経口投与で、頻度の多い副作用は骨髄抑制(特に貧血)・悪心・疲労感・下痢などがあります。しかし化学療法よりも軽微なため、化学療法が困難な症例でも治療可能である期待が持てますし、内服薬であるため外来通院で治療が可能です。局所進行~転移性前立腺癌では約10~18%でBRCA遺伝子変異を認めると言われています。

~BRCA1/2遺伝子検査~

BRCA1/2遺伝子検査は、BRCA1/2遺伝子に癌発生に関わる変異があるかどうかを特定する検査です。遺伝子に病的な変異、または病的変異疑いがあるかどうかを調べます。

遺伝子は性別に関係なく親から子へ受け継がれていくため、この遺伝子検査が陽性の場合、血縁のある御家族も遺伝子変異を持つ可能性があります。BRCA遺伝子変異陽性の場合、前立腺癌・乳癌・卵巣癌・卵管癌・腹膜癌などの発癌リスクが上昇することが分かっていますので、遺伝子変異陽性患者およびその御家族は必要に応じて遺伝カウンセリングを受けていただく必要があります。

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