2023年6月26日放送のKBCテレビ『シリタカ!』に当院院長が出演しました。
https://kbc.co.jp/shiritaka/detail.php?mid=4&cdid=32099
今回の取材内容は『梅毒』でした。
新型コロナウイルスの“5類移行”から1か月半、コロナ感染が再び増加傾向となる中、ある別の感染症患者が今急増しています。それが「梅毒」です。
現在、福岡県では昨年同時期比で1.6倍になっています。
① 梅毒とは?
梅毒トレポネーマという細菌による性感染症のひとつで、性交渉やキスなどの粘膜や皮膚の直接的な接触により感染する疾患です。
② 症状は?
接触があって約3~4週間後に、接触のあった部位(性器や口腔内、唇など)に赤みや潰瘍(皮膚のへこみ)を伴ったしこりを認めます。一般的に痛みはありませんが、痛みを伴う場合もあります。性器の場合は、性器ヘルペスや亀頭包皮炎などの、他の感染症との鑑別が必要です。
このしこりは、治療せずとも放置していると1ヶ月前後で自然に改善します。しかしながら梅毒が治ったわけではなく、体内に隠れて潜伏し続けることとなります。
その後、数ヶ月で手のひらや足のひら、全身に小さな赤い発疹が多数出現します(バラ疹)。これらの発疹も数ヶ月~半年で自然に改善します。
その状態で放置すると数年~10年ほどでゴム腫や神経梅毒と言われる脳や心臓などに病変を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。
③ 検査は?
梅毒を疑った場合、血液検査により『TP抗体』と『RPR』という2つの項目の検査を行い、その2つの結果の組み合わせで診断を行います。
梅毒は疑って検査をすることが重要となりますので、少しでも疑わしい場合や、通常の治療でなかなか改善しない場合などは迷わず検査をすることが重要になります。
ただし、超急性期(感染からまだ間もない場合)は検査が間違って陰性となってしまう『偽陰性』となる場合がありますので、期間をおいて梅毒の検査を複数回おこなうということもあります。
④ 治療は?
ペニシリン系の抗生剤をまずは4週間使用します。
1回打っただけで1ヶ月効果が持続する筋肉注射が2022年1月に保険適応となりましたが、アレルギーの問題や注射時の痛みなどがあります。
治療開始直後(数時間後から1~2日)には、ヤーリッシュへルクスハイマー反応という、発熱、頭痛、倦怠感などの症状がみられることがあります。これは治療開始に伴い、梅毒の菌が一気に大量に死滅することで引き起こされます。
⑤ 治療効果判定は?
1ヶ月おきに、診断時に用いた『TP抗体』と『RPR』を測定し、その数値の動きをみて治癒判定を行います。一度治癒判定となっても、その後の経過や再発の評価のため、治癒後少なくとも1年は継続して『TP抗体』と『RPR』を測定することが勧められます。
少しでも梅毒を疑う症状がある方、もしくは以前にあった方は、ぜひ一度当院へご相談ください。