福岡市早良区藤崎の泌尿器科・皮ふ科

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主な泌尿器系の病気

泌尿器に関する主な病名・症状をご紹介しています。
気になる症状がございましたら当院外来までご相談・ご来院ください。

また、お悩みの症状に合わせた診療も別ページにてご紹介しています。
皮ふや泌尿器のお悩みは、誰かに相談しにくいもの。
なので、お一人で抱え込まずに、どうぞお気軽に藤崎うら泌尿器科皮ふ科までご相談ください。

男性の病気

過活動膀胱

膀胱が自分の意志とは関係なく収縮してしまい、急に尿がしたくなって我慢がきかなくなり(尿意切迫感といいます)、トイレに何回もいくようになります(頻尿)。昼だけ頻尿になることもあれば夜寝ている間だけ頻尿になったり、昼も夜も頻尿になる方もおられます。診断には尿路結石や尿路腫瘍などの否定のために超音波検査や残尿検査を行います。

治療はβ刺激薬や抗コリン薬などの内服治療を行います。内服には多くの種類があるため、その薬剤選択が重要となります。内服治療で効果が不十分な難治性過活動膀胱の場合、ボツリヌス毒素(ボトックス)膀胱壁注入療法を行うこともあります〔2020年4月保険適応〕。

神経因性膀胱

脳や脊髄などの中枢神経もしくは脊髄から膀胱への末梢神経の障害により、膀胱の収縮障害を起こした結果、排尿障害をきたした状態です。糖尿病、直腸癌・子宮癌手術、脳血管障害(脳卒中)、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、小脳変性症、脊髄髄膜瘤(二分脊椎症)、脊髄係留症候群、椎間板ヘルニア、脊椎管狭窄症など、原因となる病気は多数あります。メタボリック症候群や加齢による老化現象として見られることもあります。

検査は超音波検査や尿流量測定、残尿検査が必要です。神経因性膀胱の治療は症状の改善のみならず、尿路感染の予防や腎機能保護にもつながります。状態に応じた内服治療を選択することが重要です。

排尿障害が強く残尿が非常に多い場合は尿道カテーテルが必要となることもあります。難治症例の場合、ボツリヌス毒素(ボトックス)膀胱壁注入療法を行うこともあります〔2020年4月保険適応〕。

前立腺肥大症

前立腺は膀胱の下方に位置し尿道を取り囲む臓器で、精液の一部を産生しています。前立腺が肥大すると尿の通り道である尿道を圧迫するため、尿の通過障害をきたし、尿の出が悪いといった排尿症状を引き起こすとともに、頻尿・夜間頻尿などの蓄尿症状や、残尿感や尿の切れが悪いなどの排尿後症状も起こします。前立腺肥大症は加齢とともに増加し、70歳代では10人に1人以上が前立腺肥大症と診断されます。超音波検査で前立腺容積を測定することや、尿流量測定による客観的な尿の勢いの評価、残尿の有無などの評価が重要です。

治療はαブロッカー(タムスロシン・ナフトピジル・シロドシン)やPDE5阻害剤(タダラフィル)、前立腺容積を縮小させる5α還元酵素阻害剤(デュタステリド)などの単剤もしくは併用療法を行います。

重症の場合は尿道カテーテルが必要となったり、手術が必要となることもあります。

慢性前立腺炎

なんとなく睾丸の裏に不快感があったりジーンとした感じがあったり、尿道や足の付け根などに不快感やジーンとした感じがあったり。
その症状は『慢性前立腺炎』かもしれません。

① 慢性前立腺炎とは
慢性前立腺炎とは、尿検査で明らかな炎症が検出されないのに、残尿感や違和感、不快感の症状を陰部や会陰部(睾丸の裏側~肛門前方にかけて)に感じる症状がでてきます。
② 疫学

発症年齢は20代~と比較的若い方から発症し、成人男性の3~16%が慢性前立腺炎の症状を有しているという報告もあり、非常に多くの方がお悩みの疾患のひとつでもあります。
慢性前立腺炎の症状は多彩であり、同様の症状をきたす他の病気ではないことを確認することも非常に重要です。

③ 検査

~慢性前立腺炎と同様の症状をきたす病気~

・膀胱炎、尿道炎、・精索静脈瘤、・間質性膀胱炎
・鼠径ヘルニア、・肛門周囲膿瘍、・痔ろう
・過敏性大腸炎、・大腸憩室炎、・急性虫垂炎などの腸疾患

問診や検査を行い、上記のような疾患ではないことを確認します。必要時は腹部CT検査を行うこともあります。

問診も非常に重要です。
症状が悪くなるきっかけとして、お仕事がデスクワーク中心で座っている時間が長い方や、運送業などで車を運転する方が、長時間座ったあとに症状が増悪したりします。また前立腺への直接的な刺激も悪くなるきっかけであり、自転車やバイク(特にサドルの小さいもの)に乗った後や排便後(特に硬い便)に症状が悪くなる場合は、慢性前立腺炎を疑います。

④ 治療

治療は状況に応じて、抗菌薬や植物製剤(セルニルトン)などの薬を使いわけて使用していきます。
慢性前立腺炎は長期の経過をたどり、症状が軽快増悪を繰り返すことが多い病気です。増悪するきっかけが分かれば、それを避けることにより症状を増悪させないこと(生活改善)が重要です。
前立腺炎は青年以上のあらゆる年齢で起こる比較的ポピュラーな病気のひとつです。

精巣上体炎

精巣上体とは精巣の上方~後方にある臓器で精子を蓄えて成熟させる機能があります。精巣上体に尿道より細菌が入ると炎症を起こし精巣上体炎となり、睾丸の腫れと痛みを生じます。診断のためには触診検査や超音波検査が必要です。

治療は抗生剤投与を行います。睾丸の腫れと痛みの症状の場合、精巣捻転との鑑別が重要であり、すみやかに泌尿器科受診が必要です。

副腎腫瘍

副腎とは腎臓の上方に位置する小さな臓器ですが、体の維持に必要なホルモンを多数産生しています。副腎の腫瘍は、副腎腺腫という良性腫瘍がほとんどですが、まれに腫瘍そのものがホルモンを過剰に産生する機能性副腎腫瘍や癌のこともあります。これら機能性副腎腫瘍(原発性アルドステロン症や褐色細胞腫など)や副腎癌を疑った場合は手術による切除が必要です。

手術は腹腔鏡手術が一般的です。片側の副腎を摘出しても、反対側が正常であれば体内のホルモン分泌には問題ありません。ホルモン分泌をしていない小さな非機能性の副腎腫瘍の場合はCTなどで腫瘍サイズの定期的な経過観察を行います。

腎結石・尿管結石・膀胱結石

腎盂に結石がある場合を腎結石、尿管内に結石がある場合を尿管結石、膀胱内に結石がある場合を膀胱結石、尿道内に結石がある場合を尿道結石と言います。結石の成分はシュウ酸カルシウムが最も頻度が多くなっています。結石の成分によっては内服治療で結石溶解や再発予防などが期待できるものもあります。結石はもともと腎臓内に潜んでいることが多く、それが何らかのタイミングで尿管内に下降してくることにより尿の通過障害が起こり、腎臓に尿が停滞(水腎症)し、腰の痛みや腹部の痛みが生じます。痛みの部位は結石の位置によって腰~下腹部で異なり移動することもあります。超音波検査や腹部のレントゲン検査を行い、結石部位が分からない場合はCT検査を行うこともあります。

一般的に5mm以下の結石の場合は自然排石(治療なしで体外に排出)が期待できるため、様子をみることも多いです。5mm以上の大きな結石や、痛みが強い場合、痛みによってお仕事に支障の出る場合、経過観察を行っても自然排石しない場合は治療を検討します。

治療は体外衝撃波による砕石術(ESWL)が最も体への負担が少なく施行可能です。麻酔は必要ありません。体外衝撃波は通常レントゲンに見える結石でないと砕石できません。レントゲンに見えない結石やESWLが不適当な場合は、経尿道的尿管砕石術(TUL)を行います。これは全身麻酔が必要になり、尿道から専用の内視鏡を挿入し、結石を内視鏡で直接確認しながらホルミニウムヤグレーザー(HoYAG)で砕石し、砕石片は可能な限り回収して体外に排出します。一般的に20mm以上の結石の場合は、経皮的腎砕石術(PNL)を選択する場合もあります。内視鏡が発達したため、最近では開腹手術による結石治療をすることは極めてまれです。

亀頭包皮炎

亀頭包皮炎とは、亀頭や包皮に細菌などが感染し、炎症を起こし、赤みや痛みを伴うことです。包茎や糖尿病などを背景として繰り返すことが多くあります。
入浴時の洗浄や性交渉などの日常生活で目に見えない(時に目の見える)傷ができ、そこから周囲の細菌が侵入し炎症を起こします。
細菌が原因となりますので、抗生剤の入った塗り薬や、ときに炎症を抑えるステロイドの成分のが入った塗り薬で治療を行います。

膀胱炎(単純性膀胱炎・複雑性膀胱炎)

膀胱炎は女性に多い疾患です。女性は体の構造として尿道が短く、膀胱内にばい菌が侵入しやすいのです。尿意を我慢したり、ストレスのため免疫力が低下していたり、あるいは冷えが原因で起こることもあると言われています。水分摂取量が少ないことが原因となることもあります。

膀胱炎の症状は、排尿時痛(おしっこの出終わりに痛みを感じることが多い)、排尿後もすっきりしない残尿感、違和感、尿がにごる、あるいは血尿(赤い尿)が出るなどです。
治療は、細菌を抑制する抗生剤で行います。

抗生剤治療の注意点ですが、医師が処方した薬を最後まで飲み切ることが大事です。
症状が治まったからという理由で、途中で薬を飲むのを止めてしまうと、膀胱炎が再発してしまうことがあります。

膀胱炎を繰り返す際は、耐性菌の可能性も考慮しなければなりません。耐性菌とはある特定の抗生剤が効かなくなる細菌のことです。実は、細菌の中には「強い細菌」と比較的「弱い細菌」が存在しています(同じ細菌であってもです)。抗生剤の治療を開始してすぐに死滅していくのは「弱い細菌」からです。数日して症状が治まり、服用を止めてしまうと、生き残った「強い細菌」が繁殖していくことになります。これが耐性菌が出現する理由の一つです。

また抗生剤の飲み方も大事です。抗生剤の種類によって、耐性菌を起こしにくくする飲み方は違います。処方された薬を処方箋通りの飲み方で飲むことが重要です。

また、抗生剤治療を終えたのち、もう一度、尿検査をして膀胱炎が治癒したかを調べておくことも重要です。

これまで述べてきたのは単純性膀胱炎というもので、実は膀胱炎にはもうひとつ複雑性膀胱炎というものもあります。こちらは、尿が出にくかったり、排尿しても残尿が多かったりするなど、もともとの排尿状態が悪いことを原因とする膀胱炎のことです。糖尿病や脳梗塞後などを原因とした神経因性膀胱や、前立腺肥大症・尿路結石などが主な原因となる疾患です。これらの診断はエコー検査(超音波検査)が有用です。

性病・性感染症(淋病・クラミジア感染症など)

いわゆる性病を起こす原因菌は多数ありますが、淋病(淋菌)やクラミジアが代表的です。

男性の場合は、おしっこのときに痛んだり、パンツに膿が付着するなどの症状が出ます。無症状のことも多くあります。

女性の場合は、おりものが多い・不正出血・下腹部の痛みや性交痛など症状は様々で、無症状のことも多くあります。放置すると骨盤内の炎症や卵管炎を引き起こし不妊症の原因となることもあります。

性交渉により感染し、原因となる性交渉から一般的には1~2週間ほどの潜伏期間を経て症状がでます。

これらは咽頭にも感染しているので、喉から性器へと感染することもありますから注意が必要です。

当院では男性の検査(尿検査)はもちろん、女性の検査(子宮頸管粘液検査)や、咽頭うがい液による喉の検査も可能です。

治療は原因に応じた抗生剤治療を行います。最近は、通常の抗生剤が効かないこともありますので、治療後にきちんと陰性化の確認をすることが重要です。

梅毒

① 梅毒とは?

梅毒トレポネーマという細菌による性感染症のひとつで、性交渉やキスなどの粘膜や皮膚の直接的な接触により感染する疾患です。

② 症状は?

接触があって約3~4週間後に、接触のあった部位(性器や口腔内、唇など)に赤みや潰瘍(皮膚のへこみ)を伴ったしこりを認めます。一般的に痛みはありませんが、痛みを伴う場合もあります。性器の場合は、性器ヘルペスや亀頭包皮炎などの、他の感染症との鑑別が必要です。
このしこりは、治療せずとも放置していると1ヶ月前後で自然に改善します。しかしながら梅毒が治ったわけではなく、体内に隠れて潜伏し続けることとなります。

その後、数ヶ月で手のひらや足のひら、全身に小さな赤い発疹が多数出現します(バラ疹)。これらの発疹も数ヶ月~半年で自然に改善します。

その状態で放置すると数年~10年ほどでゴム腫や神経梅毒と言われる脳や心臓などに病変を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。

③ 検査は?

梅毒を疑った場合、血液検査により『TP抗体』と『RPR』という2つの項目の検査を行い、その2つの結果の組み合わせで診断を行います。
梅毒は疑って検査をすることが重要となりますので、少しでも疑わしい場合や、通常の治療でなかなか改善しない場合などは迷わず検査をすることが重要になります。

ただし、超急性期(感染からまだ間もない場合)は検査が間違って陰性となってしまう『偽陰性』となる場合がありますので、期間をおいて梅毒の検査を複数回おこなうということもあります。

④ 治療は?

ペニシリン系の抗生剤をまずは4週間使用します。

1回打っただけで1ヶ月効果が持続する筋肉注射が2022年1月に保険適応となりましたが、アレルギーの問題や注射時の痛みなどがあります。

治療開始直後(数時間後から1~2日)には、ヤーリッシュへルクスハイマー反応という、発熱、頭痛、倦怠感などの症状がみられることがあります。これは治療開始に伴い、梅毒の菌が一気に大量に死滅することで引き起こされます。

⑤ 治療効果判定は?

1ヶ月おきに、診断時に用いた『TP抗体』と『RPR』を測定し、その数値の動きをみて治癒判定を行います。一度治癒判定となっても、その後の経過や再発の評価のため、治癒後少なくとも1年は継続して『TP抗体』と『RPR』を測定することが勧められます。

尖圭コンジローマ

① 尖圭コンジローマとは?

性交渉などでヒトパピローマウイルス(HPV6型および11型が主)が感染することにより、亀頭部や包皮(陰茎の皮の部分)、肛門などにできる腫瘍(できもの)のことです。性交渉後、症状が出るまでに数週間から長くて8ヶ月ほどたってから発症します。

② 症状は?痛みは?

はじめは小さな先が尖ったようなイボのような『できもの』ですが、時間経過とともに徐々に大きくなり『できもの』同士がくっつき、典型的なカリフラワー様の『できもの』になります。サイズが大きければ目で見て容易に診断が可能ですが、小さい場合は組織を切除して顕微鏡で確認する病理検査を行わないと診断がつかない場合もあります。 できものは痛みがないことがほとんどです。

③ 治療は?
塗り薬(イミキモドクリーム[べセルナクリーム])、電気メスによる切除、炭酸ガスレーザーによる切除などが必要です。部位によっては組織の欠損により変形することも考えられるため、2つや3つの治療を組み合わせ、症例ごとに最適な治療を選択します。当院では電気メスはもちろん、炭酸ガスレーザーも導入しておりますので、様々な治療法を選択可能です。
④ 治療後にまたできるの?
尖圭コンジローマは、治療して目に見える『できもの』がすべてなくなったとしても、3ヶ月以内に約20~25%の方が再発すると言われています。潜伏しているヒトパピローマウイルスが時間経過とともに新たな『できもの』となり再発します。『できもの』のサイズがより大きいほど、また『できもの』の数が多いほど再発率が高くなる傾向にあります。もし再発した場合は早めに治療を行います。
⑤ 癌になることはある?

非常に稀ではありますが、陰茎癌や尿道癌などの原因となることがあります。癌化の原因としては免疫抑制剤との関連が報告されています。

参考文献:日本泌尿器科学会誌 105(2):47~50,2014 『男性に発症した尿道原発コンジローマ様癌の1例』済生会八幡総合病院 浦慎太郎、高野徳昭、原武譲二

包茎(仮性包茎・真性包茎・かんとん包茎)

① 包茎ってなに?

包茎には「真性包茎」と「仮性包茎」と「かんとん包茎」の3種類があります。

「真性包茎」とは、皮がまったくむけない状態のことです。皮の出口がせまいために亀頭を露出できなくなります。亀頭部分に雑菌や垢がたまりやすくなるため、亀頭や皮の炎症を繰り返したり、性交渉の際に摩擦による痛みや、毎回皮に小さな亀裂がはいって切れてしまい痛みを伴うことがあります。

また日本泌尿器科学会の『陰茎がん診療ガイドライン』によると、包茎は陰茎がん患者の25~75%1)2)にみられ陰茎癌の強力な危険因子であると言われています。

1)Misra S, Chaturvedi A, Misra NC:Penile carcinoma:a challenge for the developing world. Lancet Oncol 5:240-247, 2004

2)Dillner J, von Krogh G, Horenblas S, Meijer CJ:Etiology of squamous cell carcinoma of the penis. Scand J Urol Nephrol Suppl :189-193, 2000

「仮性包茎」とは、亀頭部に皮がかぶっていますが、手で皮をむき亀頭を露出することができる状態のことです。皮の出口は狭くありませんので、むくときに痛みを伴うこともありません。性交渉も可能で、特段治療を介入する必要性はないように思います。ところが、この仮性包茎にも様々なタイプのものが存在します。

② どのようなタイプが治療をすべきか?

その理由として、皮の出口がせまく亀頭を露出できないため、雑菌や垢がたまりやすくなったり、正常な性交渉が困難になったりするためです。亀頭や皮の炎症を引き起こしたり、性交渉の際にも摩擦による痛みを伴うことがあります。また日本泌尿器科学会の『陰茎がん診療ガイドライン』によると包茎は陰茎がんの危険因子であることが明らかとなっています。

また、仮性包茎であっても、以下に該当するようならば、治療が検討されます。

・余剰な皮があるタイプ:
皮がこすれて赤みや炎症を繰り返したり(亀頭包皮炎)、あるいはいわゆる仮性包茎という外見を気にされる方の場合。
・常に皮で覆われているタイプ:

衛生上の問題があったり、あるいは炎症(亀頭包皮炎)を繰り返したり、あるいは外見を気にされる方の場合。

※亀頭包皮炎とは、亀頭や包皮に細菌などが感染し炎症を起こし、赤みや痛みを伴うことです。包茎などを背景として繰り返すことが多くあります。

・一部に軽く狭いところがあるタイプ:

皮の違和感に悩んだり、皮をむくと毎回狭いところの包皮が切れてしまい痛みを伴ったり、外見を気にされる方の場合。

※亀頭のすぐ下で陰茎を締め付け、動かなくなるかんとん包茎(後述しています)とは区別してください。

・亀頭の裏の線上のひも部分(いわゆる裏すじ)が短く、それが突っ張って痛みを生じる場合。
・その他、陰部には人それぞれ様々なお悩み事をかかえた方がおられます。当院ではそのお悩みひとつひとつに向き合い、最善の改善案を考え提案してまいります。どんな些細なことでも結構ですのでご相談ください。
③ 真性包茎の治療費用は?

真性包茎は保険適応(保険証を提出し、一部負担金を支払って処置や診療などが受けられる制度のこと)になっています。環状切除術に準じた方法で手術を行った場合は、例えば2023年現在、再診料(730円)+手術料(20400円)+処方箋料(680円)の合計21810円となった場合は、3割負担の方だと約6550円となります。(別途、薬代などがかかりますが、もちろんこれも保険適応となります)

④ すぐに来院が必要な包茎

もともと狭かった皮の出口を無理にむいてしまったせいで、亀頭が狭い包皮によって締め付けられ、もとに戻らなくなってしまった状態をかんとん包茎と呼びます。かんとん包茎はすぐに来院して治療をして頂く必要があります。

放置すると下の絵のように皮が腫れあがり強い痛みを伴うため、自分ではもとに戻すことが出来なくなります。この状態を放置すると、場合によっては亀頭へいく血のめぐりが悪くなり、亀頭の組織が壊死してしまうこともあるため、速やかに泌尿器科の受診が必要です。

⑤ 治療方法

「真性包茎」は手術が検討されます。

医学的に認められている手術法は『環状切開術』ですので、基本的にはそれに準じた手術法になります。包茎の方は包茎のみではなく、他の悩みを同時に抱えている方も多く、その方のお悩みをすべて合わせて考え、可能な限り包茎手術時にその他のお悩みも同時に解決できるように修正手術ができればと考えています。

前述したとおり「真性包茎」は保険適応(保険証を提出し、一部負担金を支払って処置や診療などが受けられる制度のこと)ですが、「仮性包茎」は自費診療となります。

⑥ 仮性包茎の治療費用は?

仮性包茎に対して環状切除術に準じた方法で手術を行った場合は、当院では120000円(税込)となります。この金額には、麻酔料+手術手技料+抜糸料(7日以上経過してから別日での抜糸)までを含みます。

当院では手術は泌尿器科専門医である男性医師1名と男性看護師1名の計2名の男性スタッフのみで手術を行いますので、安心して受診してください。

麻酔は陰茎の根元に局所麻酔薬を注入して行います。痛みが少し残る場合は、局所麻酔薬を追加で注射して痛みをとります。したがって、手術中の痛みはほとんどありません。

手術後の合併症ですが、傷からの出血、傷の感染、麻酔薬のアレルギーなどが代表的です。また包皮小帯(いわゆる裏すじ)付近の腫れが起こることがあります。特に皮に炎症やむくみを繰り返している方に多いですが個人差が大きくあります。長ければ3~6ヶ月ほど続くこともあります。もしも傷が感染を起こした場合は抗生剤の内服などを行います。

⑦ 手術はどこで受けた方が良い?

手術はどこでも受けられるわけではなく、必要な機械として手術中の出血を止める「電気メス」は最低限必要です。また手術を行う医師は、陰部の手術症例件数をこなした日本泌尿器科学会の専門医であることが望ましいと思われます。

⑧ 当院で手術を行うメリット
  • 日本泌尿器科学会専門医による手術
  • 男性スタッフのみでの手術
  • 完全個室での手術
  • 医師はもちろんのこと、もし医師に聞きづらいことであれば男性看護師へのご相談も可能です。お待ちしております。

    陰嚢水腫

    子供から大人まで起こります。

    精巣周囲に水がたまる病気で、水がたまった影響で陰嚢が大きくなります。触ると比較的やわらかく、痛みがないのが特徴です。

    小児は自然軽快することもありますが、成人では自然軽快はほとんどないため陰嚢に針を刺して水を抜く処置をすることもあります。陰嚢が大きく歩行などで邪魔になったりと、日常生活に問題がなければ基本的には経過観察も可能です。水の貯留スピードが早い方は、手術を行うこともあります。ごくごく稀ではありますが癌のこともあるため、一度は検査をお勧めいたします。

    鼠径ヘルニア(脱腸)

    子供から大人まで起こります。

    鼠径管と呼ばれる足の付け根の組織の弱い部分から腸が外側に飛び出てきた状態です。

    鼠径部がもりあがったり、陰嚢が大きくなったりして、その部分に不快感や違和感、あるいは痛みを生じることがあります。診断は診察による視診、触診と、超音波検査(エコー)による腸の脱出を確認します。治療は基本的に手術を行います。飛び出した腸をもとの場所におさめる手術となります。この病気は、泌尿器科ではなく外科(小児外科)で手術治療を行います。

    尿膜管膿瘍(尿膜管遺残症)

    臍やおなかが痛くなり、臍から膿が出てくる病気です。

    もともと胎生期に臍と膀胱は管でつながっています。通常はこの管は成長とともに退縮して管が閉塞し索状組織となりますが、一部の方は、この管が閉塞せずに残ったままとなり、そのような状態を尿膜管遺残と言います。この残ったままの尿膜管にばい菌が入り炎症を起こし膿がたまってしまう病気を尿膜管膿瘍(尿膜管遺残症)と言います。通常は抗生剤治療を行いますが、繰り返す場合や抗生剤によりコントロールが悪い場合は手術でこの遺残した尿膜管を摘出することもあります。

    男性更年期症候群(LOH症候群)

    加齢に伴い男性ホルモン(アンドロゲン)が減少し、症状をきたした状態です。症状は、疲労感や抑うつ、イライラ、睡眠障害、筋力低下、骨減少、性欲の低下、勃起能の低下など多岐にわたります。これらの症状は男性更年期でのみ特異的というわけではありませんが、男性更年期症候群(LOH症候群)が鑑別のひとつとなります。内科の検査で原因不明な場合に特に考慮しておくことが重要です。

    検査方法は、血液検査で遊離テストステロンという男性ホルモンを測定します。数値が低い場合は男性ホルモンの補充を検討したり、症状に合わせて漢方薬を使用することもあります。男性ホルモンの補充は前立腺癌のリスクが高まるため、前立腺癌の血液検査であるPSA検査が必須です。

    女性の病気

    膀胱炎(単純性膀胱炎・複雑性膀胱炎)

    膀胱炎は女性に多い疾患です。女性は体の構造として尿道が短く、膀胱内にばい菌が侵入しやすいのです。尿意を我慢したり、ストレスのため免疫力が低下していたり、あるいは冷えが原因で起こることもあると言われています。水分摂取量が少ないことが原因となることもあります。

    膀胱炎の症状は、排尿時痛(おしっこの出終わりに痛みを感じることが多い)、排尿後もすっきりしない残尿感、違和感、尿がにごる、あるいは血尿(赤い尿)が出るなどです。
    治療は、細菌を抑制する抗生剤で行います。

    抗生剤治療の注意点ですが、医師が処方した薬を最後まで飲み切ることが大事です。
    症状が治まったからという理由で、途中で薬を飲むのを止めてしまうと、膀胱炎が再発してしまうことがあります。

    膀胱炎を繰り返す際は、耐性菌の可能性も考慮しなければなりません。耐性菌とはある特定の抗生剤が効かなくなる細菌のことです。実は、細菌の中には「強い細菌」と比較的「弱い細菌」が存在しています(同じ細菌であってもです)。抗生剤の治療を開始してすぐに死滅していくのは「弱い細菌」からです。数日して症状が治まり、服用を止めてしまうと、生き残った「強い細菌」が繁殖していくことになります。これが耐性菌が出現する理由の一つです。
    また抗生剤の飲み方も大事です。抗生剤の種類によって、耐性菌を起こしにくくする飲み方は違います。処方された薬を処方箋通りの飲み方で飲むことが重要です。

    また、抗生剤治療を終えたのち、もう一度、尿検査をして膀胱炎が治癒したかを調べておくことも重要です。

    これまで述べてきたのは単純性膀胱炎というもので、実は膀胱炎にはもうひとつ複雑性膀胱炎というものもあります。こちらは、尿が出にくかったり、排尿しても残尿が多かったりするなど、もともとの排尿状態が悪いことを原因とする膀胱炎のことです。糖尿病や脳梗塞後などを原因とした神経因性膀胱や、前立腺肥大症・尿路結石などが主な原因となる疾患です。これらの診断はエコー検査(超音波検査)が有用です。

    性病・性感染症(淋病・クラミジア感染症など)

    いわゆる性病を起こす原因菌は多数ありますが、淋病(淋菌)やクラミジアが代表的です。

    男性の場合は、おしっこのときに痛んだり、パンツに膿が付着するなどの症状が出ます。無症状のことも多くあります。

    女性の場合は、おりものが多い・不正出血・下腹部の痛みや性交痛など症状は様々で、無症状のことも多くあります。放置すると骨盤内の炎症や卵管炎を引き起こし不妊症の原因となることもあります。

    性交渉により感染し、原因となる性交渉から一般的には1~2週間ほどの潜伏期間を経て症状がでます。
    これらは咽頭にも感染しているので、喉から性器へと感染することもありますから注意が必要です。
    当院では男性の検査(尿検査)はもちろん、女性の検査(子宮頸管粘液検査)や、咽頭うがい液による喉の検査も可能です。

    治療は原因に応じた抗生剤治療を行います。最近は、通常の抗生剤が効かないこともありますので、治療後にきちんと陰性化の確認をすることが重要です。

    梅毒

    ① 梅毒とは?

    梅毒トレポネーマという細菌による性感染症のひとつで、性交渉やキスなどの粘膜や皮膚の直接的な接触により感染する疾患です。

    ② 症状は?

    接触があって約3~4週間後に、接触のあった部位(性器や口腔内、唇など)に赤みや潰瘍(皮膚のへこみ)を伴ったしこりを認めます。一般的に痛みはありませんが、痛みを伴う場合もあります。性器の場合は、性器ヘルペスや亀頭包皮炎などの、他の感染症との鑑別が必要です。

    このしこりは、治療せずとも放置していると1ヶ月前後で自然に改善します。しかしながら梅毒が治ったわけではなく、体内に隠れて潜伏し続けることとなります。

    その後、数ヶ月で手のひらや足のひら、全身に小さな赤い発疹が多数出現します(バラ疹)。これらの発疹も数ヶ月~半年で自然に改善します。

    その状態で放置すると数年~10年ほどでゴム腫や神経梅毒と言われる脳や心臓などに病変を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。

    ③ 検査は?

    梅毒を疑った場合、血液検査により『TP抗体』と『RPR』という2つの項目の検査を行い、その2つの結果の組み合わせで診断を行います。

    梅毒は疑って検査をすることが重要となりますので、少しでも疑わしい場合や、通常の治療でなかなか改善しない場合などは迷わず検査をすることが重要になります。

    ただし、超急性期(感染からまだ間もない場合)は検査が間違って陰性となってしまう『偽陰性』となる場合がありますので、期間をおいて梅毒の検査を複数回おこなうということもあります。

    ④ 治療は?

    ペニシリン系の抗生剤をまずは4週間使用します。
    1回打っただけで1ヶ月効果が持続する筋肉注射が2022年1月に保険適応となりましたが、アレルギーの問題や注射時の痛みなどがあります。

    治療開始直後(数時間後から1~2日)には、ヤーリッシュへルクスハイマー反応という、発熱、頭痛、倦怠感などの症状がみられることがあります。これは治療開始に伴い、梅毒の菌が一気に大量に死滅することで引き起こされます。

    ⑤ 治療効果判定は?

    1ヶ月おきに、診断時に用いた『TP抗体』と『RPR』を測定し、その数値の動きをみて治癒判定を行います。一度治癒判定となっても、その後の経過や再発の評価のため、治癒後少なくとも1年は継続して『TP抗体』と『RPR』を測定することが勧められます。

    過活動膀胱

    膀胱が自分の意志とは関係なく収縮してしまい、急に尿がしたくなって我慢がきかなくなり(尿意切迫感といいます)、トイレに何回もいくようになります(頻尿)。昼だけ頻尿になることもあれば夜寝ている間だけ頻尿になったり、昼も夜も頻尿になる方もおられます。診断には尿路結石や尿路腫瘍などの否定のために超音波検査や残尿検査を行います。

    治療はβ刺激薬や抗コリン薬などの内服治療を行います。内服には多くの種類があるため、その薬剤選択が重要となります。内服治療で効果が不十分な難治性過活動膀胱の場合、ボツリヌス毒素(ボトックス)膀胱壁注入療法を行うこともあります〔2020年4月保険適応〕。

    腹圧性尿失禁

    咳やくしゃみ・重いものを持ち上げた時・走ったりジャンプした時などに尿が漏れてしまう状態です。尿失禁は成人女性の4人に1人にみられ、週1回以上尿失禁を認める女性は500万人以上と言われています。実は非常に多くのみなさんがお悩みです。加齢や妊娠出産・体重増加・子宮などの婦人科手術などをきっかけにして発症します。これは骨盤底筋群という骨盤底の筋肉がゆるむために起こりますので、治療として骨盤底筋を強くするために骨盤底筋運動をおこなったり、内服治療を行います。排尿障害など他疾患の除外のため超音波検査や残尿検査が必要です。

    神経因性膀胱

    脳や脊髄などの中枢神経もしくは脊髄から膀胱への末梢神経の障害により、膀胱の収縮障害を起こした結果、排尿障害をきたした状態です。糖尿病、直腸癌・子宮癌手術、脳血管障害(脳卒中)、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、小脳変性症、脊髄髄膜瘤(二分脊椎症)、脊髄係留症候群、椎間板ヘルニア、脊椎管狭窄症など、原因となる病気は多数あります。メタボリック症候群や加齢による老化現象として見られることもあります。

    検査は超音波検査や尿流量測定、残尿検査が必要です。神経因性膀胱の治療は症状の改善のみならず、尿路感染の予防や腎機能保護にもつながります。状態に応じた内服治療を選択することが重要です。

    排尿障害が強く残尿が非常に多い場合は尿道カテーテルが必要となることもあります。難治症例の場合、ボツリヌス毒素(ボトックス)膀胱壁注入療法を行うこともあります〔2020年4月保険適応〕。

    副腎腫瘍

    副腎とは腎臓の上方に位置する小さな臓器ですが、体の維持に必要なホルモンを多数産生しています。副腎の腫瘍は、副腎腺腫という良性腫瘍がほとんどですが、まれに腫瘍そのものがホルモンを過剰に産生する機能性副腎腫瘍や癌のこともあります。これら機能性副腎腫瘍(原発性アルドステロン症や褐色細胞腫など)や副腎癌を疑った場合は手術による切除が必要です。

    手術は腹腔鏡手術が一般的です。片側の副腎を摘出しても、反対側が正常であれば体内のホルモン分泌には問題ありません。ホルモン分泌をしていない小さな非機能性の副腎腫瘍の場合はCTなどで腫瘍サイズの定期的な経過観察を行います。

    腎結石・尿管結石・膀胱結石

    腎盂に結石がある場合を腎結石、尿管内に結石がある場合を尿管結石、膀胱内に結石がある場合を膀胱結石、尿道内に結石がある場合を尿道結石と言います。結石の成分はシュウ酸カルシウムが最も頻度が多くなっています。結石の成分によっては内服治療で結石溶解や再発予防などが期待できるものもあります。結石はもともと腎臓内に潜んでいることが多く、それが何らかのタイミングで尿管内に下降してくることにより尿の通過障害が起こり、腎臓に尿が停滞(水腎症)し、腰の痛みや腹部の痛みが生じます。痛みの部位は結石の位置によって腰~下腹部で異なり移動することもあります。超音波検査や腹部のレントゲン検査を行い、結石部位が分からない場合はCT検査を行うこともあります。

    一般的に5mm以下の結石の場合は自然排石(治療なしで体外に排出)が期待できるため、様子をみることも多いです。5mm以上の大きな結石や、痛みが強い場合、痛みによってお仕事に支障の出る場合、経過観察を行っても自然排石しない場合は治療を検討します。

    治療は体外衝撃波による砕石術(ESWL)が最も体への負担が少なく施行可能です。麻酔は必要ありません。体外衝撃波は通常レントゲンに見える結石でないと砕石できません。レントゲンに見えない結石やESWLが不適当な場合は、経尿道的尿管砕石術(TUL)を行います。これは全身麻酔が必要になり、尿道から専用の内視鏡を挿入し、結石を内視鏡で直接確認しながらホルミニウムヤグレーザー(HoYAG)で砕石し、砕石片は可能な限り回収して体外に排出します。一般的に20mm以上の結石の場合は、経皮的腎砕石術(PNL)を選択する場合もあります。内視鏡が発達したため、最近では開腹手術による結石治療をすることは極めてまれです。

    尿膜管膿瘍(尿膜管遺残症)

    臍やおなかが痛くなり、臍から膿が出てくる病気です。

    もともと胎生期に臍と膀胱は管でつながっています。通常はこの管は成長とともに退縮して管が閉塞し索状組織となりますが、一部の方は、この管が閉塞せずに残ったままとなり、そのような状態を尿膜管遺残と言います。この残ったままの尿膜管にばい菌が入り炎症を起こし膿がたまってしまう病気を尿膜管膿瘍(尿膜管遺残症)と言います。通常は抗生剤治療を行いますが、繰り返す場合や抗生剤によりコントロールが悪い場合は手術でこの遺残した尿膜管を摘出することもあります。

    鼠径ヘルニア(脱腸)

    子供から大人まで起こります。

    鼠径管と呼ばれる足の付け根の組織の弱い部分から腸が外側に飛び出てきた状態です。

    鼠径部がもりあがったり、陰嚢が大きくなったりして、その部分に不快感や違和感、あるいは痛みを生じることがあります。診断は診察による視診、触診と、超音波検査(エコー)による腸の脱出を確認します。治療は基本的に手術を行います。飛び出した腸をもとの場所におさめる手術となります。この病気は、泌尿器科ではなく外科(小児外科)で手術治療を行います。

    悪性腫瘍(がん)

    前立腺癌

    前立腺の悪性腫瘍です。2018年の全国がん登録罹患データによると部位別がん罹患数において男性の中で前立腺癌が最も多くなっています。つまり男性の中で最もかかりやすい癌が『前立腺癌』ということです。前立腺癌の発見にはPSA検診が重要です。PSAは血液検査1本で測定でき、泌尿器科クリニックや福岡市の前立腺がん検診(55歳以上の男性で2月と10月に実施されます)などで施行可能です。PSAが異常値になると、泌尿器科クリニックを受診していただき、PSAの再検査・直腸診・経直腸的前立腺超音波検査などを行い、総合的に前立腺癌の可能性を検討し、次のステップである前立腺針生検検査が必要かどうかを判断します。前立腺癌の診断には前立腺針生検が必要です。

    当院では局所麻酔下に日帰りで前立腺針生検検査を行っております(検査後、院内で数時間安静が必要です)。

    癌と診断された場合は、癌の広がりや転移の有無の評価のためCTやMRI・骨シンチグラフィーなどを撮像します。これらの画像検査の結果とPSA値・癌の悪性度(グリソンスコア)・年齢・基礎疾患などを総合的にみて治療方針を決定します。根治療法として、手術療法(ロボット補助下手術・腹腔鏡手術・開放手術)と放射線療法(放射線外照射・放射線内照射・重粒子線治療)があります。転移がある場合や根治療法が不適当な場合は、ホルモン療法(注射および内服治療)を行います。その他、抗がん剤治療などを行う場合もあります。

    外来通院で治療可能なホルモン療法は当院でも可能です。手術を選択された場合はご希望に合わせて福岡市内の大病院をご紹介いたします。

    精巣癌

    精巣の悪性腫瘍です。精巣癌は10万人に1人程度と稀な癌ですが、20~30代の男性の固形癌としては最も多く、比較的若い方に発症します。症状としては、痛みもなく睾丸が硬く腫れている場合に疑われます。触診検査や超音波検査、腫瘍マーカーなどの血液検査を行います。

    精巣癌は進行が早いことが多く、もし疑った場合は準緊急的な手術(高位精巣摘除術)が必要となりますので、すみやかに泌尿器科を受診してください。

    腎臓癌

    腎臓の悪性腫瘍です。血尿・腹部腫瘤・腰背部痛(疼痛)が腎癌の古典的3徴と言われていますが、近年検診や画像検査の発達により他の目的の検査中に偶然腫瘍がみつかる偶発癌が多くなっています。そのため小さなサイズでの発見が非常に多くなっています。腫瘍が増大すれば、上記の症状が現れることもあります。腫瘍の有無の評価のためには超音波検査が重要です。腫瘍が疑われた場合、造影剤を使用したCT検査を行い、その造影効果(造影剤の染まり方)によって腎癌のタイプをある程度推定します。

    治療は手術による腫瘍切除が標準的です。手術法は、腫瘍を部分的に切除し可能な限り正常腎機能を温存する『腎部分切除術』と、正常腎ごと切除する『腎摘出術』があります。腎臓は左右ひとつずつの計ふたつあるため、正常腎機能をお持ちであれば、片方の腎臓を摘出しても日常生活に支障は起こりません。これらはロボット補助下手術と腹腔鏡手術があり、いずれも保険適応となっています。腫瘍サイズや腫瘍の位置・年齢・手術歴の有無・基礎疾患によってどの術式を選択するか判断します。

    転移がある場合は、状況に応じて分子標的治療薬(スニチニブやパゾパニブなど)や免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブやペンブロリズマブ)などで治療を行います。インターフェロン注射を使用することもあります。

    膀胱癌・腎盂癌・尿管癌

    尿の通り道の悪性腫瘍です。膀胱に膀胱癌、腎盂にできた癌を腎盂癌、尿管にできた癌を尿管癌と言います。
    最も多い症状は、痛くもないのにおしっこが赤くなる(無症候性肉眼的血尿)ことです。頻尿や尿の出にくさ、尿の痛み、腫瘍の場所によっては腰痛をきたすこともあります。健康診断などで尿潜血を指摘された場合や、赤いおしっこが出た場合は泌尿器科受診が必要です。特に肉眼的に見て赤い尿が出た場合(肉眼的血尿)は1回だけの血尿であっても、すみやかに泌尿器科を受診してください。検尿や超音波検査、尿細胞診検査(尿の中に癌細胞が混ざっていないかどうかの顕微鏡的な検査)を行います。これらの検査に痛みはありません。場合によってはレントゲン検査やCT検査、膀胱内視鏡検査を行うこともあります。腫瘍が見つかった場合は、切除手術による確定診断(良性なのか悪性なのかの診断)を行います。腫瘍の部位によって切除の方法が異なり、膀胱の場合は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を行い、腎盂や尿管の場合は尿管鏡というカメラを使用して腫瘍生検を行います。TURBTは治療を兼ねていますので、早期膀胱癌であればその手術だけで治療終了となる場合もあります。癌の状態によっては術後に再発予防のためのお薬を膀胱内に注入する治療を行うこともあります(外来通院で治療可能です)。

    筋肉層以上に腫瘍が浸潤しているような進行性膀胱癌の場合は、膀胱全摘除術(ロボット補助下手術や)+尿路変向術(回腸導管造設術など)が必要となります。化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療などを行うこともあります。腎盂癌や尿管癌の場合は、尿管鏡下生検によって確定診断後に、転移のない場合は根治手術(腹腔鏡下腎尿管全摘術)を行います。腎盂癌の場合も、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療などを行うこともあります。最近では免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブやペンブロリズマブ)を使用することもあります。

    お子さんの病気

    亀頭包皮炎

    亀頭包皮炎とは、亀頭や包皮に細菌などが感染し、炎症を起こし、赤みや痛みを伴うことです。包茎や糖尿病などを背景として繰り返すことが多くあります。

    入浴時の洗浄や性交渉などの日常生活で目に見えない(時に目の見える)傷ができ、そこから周囲の細菌が侵入し炎症を起こします。

    細菌が原因となりますので、抗生剤の入った塗り薬や、ときに炎症を抑えるステロイドの成分のが入った塗り薬で治療を行います。

    精巣捻転(睾丸捻転)

    精巣が捻転(ねじれる)ことにより、精巣に流れる血液がストップしてしまい、精巣が壊死してしまう病気です。睾丸が大きくなり非常に強い痛みが出るのが主な症状です。エコーで精巣の血流の有無を確認することで診断を行いますが、精巣垂捻転や精巣上体炎と呼ばれる似た症状の疾患との区別が難しいこともあります。

    精巣捻転は稀な病気ではありますが、本当にその診断となれば緊急手術を行い早急に血流を回復することが重要です。精巣の血流が戻らなければ、精巣を摘出することもあります。

    停留精巣(停留睾丸)

    お子さんの病気のひとつです。胎児期におなかの中にあった精巣が、正常では新生児期に陰嚢内(睾丸の袋の中)に下降してくることにより触知できるようになるのが正常ですが、これが降りてこない状態を停留精巣(停留睾丸)と言います。簡単に言うと、陰嚢内に睾丸がない状態です。通常は成長とともに下降がみられ正常となりますが、まれに下降せずに手術をおこない、精巣を陰嚢内に固定することもあります。

    精巣上体炎

    精巣上体とは精巣の上方~後方にある臓器で精子を蓄えて成熟させる機能があります。精巣上体に尿道より細菌が入ると炎症を起こし精巣上体炎となり、睾丸の腫れと痛みを生じます。診断のためには触診検査や超音波検査が必要です。

    治療は抗生剤投与を行います。睾丸の腫れと痛みの症状の場合、精巣捻転との鑑別が重要であり、すみやかに泌尿器科受診が必要です。

    陰嚢水腫

    子供から大人まで起こります。

    精巣周囲に水がたまる病気で、水がたまった影響で陰嚢が大きくなります。触ると比較的やわらかく、痛みがないのが特徴です。

    小児は自然軽快することもありますが、成人では自然軽快はほとんどないため陰嚢に針を刺して水を抜く処置をすることもあります。陰嚢が大きく歩行などで邪魔になったりと、日常生活に問題がなければ基本的には経過観察も可能です。水の貯留スピードが早い方は、手術を行うこともあります。ごくごく稀ではありますが癌のこともあるため、一度は検査をお勧めいたします。

    鼠径ヘルニア(脱腸)

    子供から大人まで起こります。

    鼠径管と呼ばれる足の付け根の組織の弱い部分から腸が外側に飛び出てきた状態です。

    鼠径部がもりあがったり、陰嚢が大きくなったりして、その部分に不快感や違和感、あるいは痛みを生じることがあります。診断は診察による視診、触診と、超音波検査(エコー)による腸の脱出を確認します。治療は基本的に手術を行います。飛び出した腸をもとの場所におさめる手術となります。この病気は、泌尿器科ではなく外科(小児外科)で手術治療を行います。

    遺尿症(夜尿症・おねしょ)

    成長してもお子さんのおねしょが続くと、親御さんは非常に心配になられるかと思います。

    おねしょは、5歳以上で1ヶ月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3ヶ月以上つづくもの、と定義されています。頻度は、5歳のお子さんでは約15%、10歳では約5%、15歳では2~3%と言われています。そのほとんどは成長ともに改善すると言われていますが、その自然軽快までの期間を短縮するために、生活指導や薬物治療を行っていきます。

    小学校にはいってもおねしょが持続する場合は、一度泌尿器科や小児科を受診することがお勧めです。

    おねしょの主な原因は、夜間に尿がたまっても尿意で目を覚ますことができないという睡眠の覚醒障害が原因と考えられています。また、稀ではありますが、おねしょの原因になるような疾患(尿路奇形や排尿障害、膀胱結石など)がないかどうか超音波検査などで確認を行います。必要時に飲み薬による治療の検討を行いますが、薬を飲み続けることが困難と思われる小学校低学年の場合はアラーム療法などをお勧めしております。修学旅行などをきっかけに治療希望で受診される場合も多いですが、飲み薬を始めてもすぐに改善するわけではないため、重要なイベントがある場合はその半年前~少なくとも数ヶ月前には受診していただいたほうが良いかと思います。

    腎臓の病気

    蛋白尿

    健康診断などで尿中に蛋白がでていることで当院を受診される方が多くいらっしゃいます。

    原因として、糸球体腎炎や糖尿病、高血圧(腎硬化症)が重要です。思春期などのお子さんの場合は、起立性蛋白尿という良性の蛋白尿もあります(この場合、起床時の尿では基本的に蛋白尿はありません)。蛋白尿の程度(1日量)や血液検査、年齢などを考慮し必要に応じて腎生検という腎臓の組織検査を行い、その原因に応じた治療を行います。

    糸球体腎炎

    扁桃炎や咽頭炎などのいわゆる風邪にかかったあと(特に連鎖球菌)や、SLEやIgA腎症など遺伝・免疫の病気で発症する、糸球体(腎臓のなかの血液をろ過する部分)の炎症のことです。糸球体腎炎を発症すると、通常尿中に通常は出てこない尿蛋白や尿潜血が出現し、足がむくんだり、血液検査で腎機能障害を起こしたりします。尿検査や血液検査でこの病気を疑った場合は、診断確定のために腎生検という腎臓の組織検査を行い、その原因に応じた治療を行います。

    藤崎うら泌尿器科皮ふ科